不動産のポスティング効果を高めるには?チラシデザインのポイントも紹介
ポスティングはチラシやパンフレットをポストに投函する集客方法であり、不動産業界との相性もよいです。しかし、不動産の購入や売却といった具体的なアクションは金額も大きく、「まずはチラシをきっかけに将来的なプランを検討してもらう」という目的でポスティングを行うのが現実的でしょう。
この記事では、集客につながるポスティングチラシ作成のコツ、チラシ配布時のポイントについてくわしく解説しています。
集客につながる不動産のポスティングチラシ作成のコツ
ポスティングでは、まずチラシを見てもらわないことには反響につながりませんので、チラシのデザインは非常に重要です。この章では、集客につながる不動産チラシ作成のコツをご紹介します。
不動産のターゲット層(ペルソナ)を明確にする
チラシのデザイン作成の前に、誰にチラシを届けたいのかペルソナを設定するところから始めましょう。ペルソナとは、商品・サービスを利用する「架空の顧客像」のことです。ペルソナを決めることで、デザイン全体の方向性や訴求点が見えてくるようになります。
不動産チラシ(分譲マンション)のペルソナ例を以下にご紹介します。
個人のプロフィール |
名前 |
佐藤 健太郎(さとう けんたろう) |
性別 |
男性 |
年齢 |
35歳 |
居住地 |
東京都渋谷区 |
職業 |
IT企業のプロジェクトマネージャー |
収入 |
800万円 |
起床時間 |
AM 6:30 |
就寝時間 |
PM 11:30 |
家族構成 |
3人(妻・息子) |
外食 or 自炊 |
平日は外食が多いが、週末は自炊 |
SNS |
Instagram、LinkedIn |
ライフスタイル |
趣味 |
ジョギング、映画鑑賞、ワイン |
休日の過ごし方 |
家族と過ごす、カフェ巡りや美術館訪問 |
よく行くお店 |
スターバックス、ヴィンテージワインショップ、無印良品 |
よく読む雑誌 |
「Pen」「WIRED」 |
好きな食べ物 |
イタリアン、和食、エスニック料理 |
流行への感度 |
トレンドには敏感で、新しいガジェットやファッションにも関心がある |
価値観 |
性格 |
論理的で計画的、しかし柔軟性も持ち合わせている |
お金の使い方 |
必要なものにはしっかり投資するが、無駄遣いは避ける |
物件を選ぶ基準 |
立地 |
駅近で通勤に便利な場所、将来性のあるエリア |
価格 |
予算内であること、ローン返済が無理のない範囲であること |
広さと間取り |
快適に暮らせる広さと、ワークスペースが確保できる間取り |
設備 |
最新の設備やセキュリティシステムが整っていること |
周辺環境 |
ショッピングや飲食店、公園などの生活利便施設が充実していること |
デザインと品質 |
外観や内装のデザインが好みであり、建物の品質が高いこと |
管理体制 |
管理会社の評判や管理体制がしっかりしていること |
「ここまで細かく考える必要があるの?」と思った人もいるかもしれませんが、多くの人にとって人生で1回の買い物である不動産は、広くターゲットを取るよりも特定の個人に向けてチラシを作成した方が説得力を増します。
ぜひ上記の表を参考にペルソナ設定をしてみてください。
顧客の行動を促すポスティングチラシ構成にする
顧客の行動を促すチラシ構成としては「PASONAの法則」が主流です。6つの単語の頭文字を取ったもので、「P – A – S – O – N – A」の順番に情報を配置することで、問い合わせや来店につなげやすくなります。
不動産チラシの例は以下の通りです。
Problem(問題) |
狭い賃貸アパートにうんざりしていませんか? |
Affinity(親近感) |
私たちも同じように、快適で便利な住環境を探していました。そして、理想の住まいを見つけた瞬間、その違いを実感しました。 |
Solution(解決策) |
駅近で通勤に便利な立地、広々とした間取り、最新の設備を備えています。さらに、信頼性の高い管理体制で、安心して快適な生活を送ることができます。 |
Offer(特典) |
モデルルーム見学後にご成約いただいたお客様には、初年度の管理費無料の特典をご用意しています。 |
Narrowing Down(絞り込み) |
この特典は先着10名様限定となっております。お早めにご検討ください。さらに、初回の内覧予約をいただいた方には、特製のギフトセットをプレゼント! |
Action(行動) |
まずはモデルルームを見学して、理想の住まいを実際にご覧ください。ご予約はお電話またはWebサイトから簡単にできます。 |
顧客にとってのベネフィットを伝える
不動産の集客において重要なのは「顧客にとってのベネフィット」の提案です。「ベネフィット」とは、顧客が商品やサービスを購入することによって得られる未来のこと。聞き馴染みのある「メリット」とは少し意味合いが違います。
メリット |
ベネフィット |
|
- ・広々とした部屋でゆったり寛げる
- ・近隣の施設で充実した週末を過ごせる
- ・緑豊かな地域で心豊かな暮らしができる 等
|
つまりは「そのマンションに暮らすことで、どんな楽しい生活が送れるのか」「どんな快適な暮らしが待っているのか」という「イメージ」を与えられるかどうかで、見込み客の反応が大きく変わってくるというわけです。特に高級物件になればなるほど、上記のような「ベネフィット」が重要になってきます。チラシではベネフィットを積極的に押し出すようにしましょう。
生活者目線のキャッチコピーを入れる
ベネフィットを手っ取り早く伝えるにはチラシにキャッチコピーを入れるのが効果的です。ただしキャッチコピーの主体は、あくまでも「顧客目線」であることを心がけましょう。
物件としての好条件だけをキャッチコピーに入れても、顧客側は「そこで暮らす自分」のイメージがなかなか持てません。例えば同じ「広いリビング」という話でも、単に「×畳のリビングで広々」と書かれているより、「×畳のリビングで、家族の語らいの時間もゆったりと。」と書かれていたほうが、顧客側は「その家で暮らす自分」をより具体的にイメージすることができるようになります。
キャッチコピーやチラシ本文においては、主体を「そこで暮らす人」に置くようにしてみましょう。同じ物件説明でも「暮らすイメージ」を喚起させることでチラシを手にした人の反応は大きく変わってきます。
ターゲットに合ったチラシデザインに統一する
チラシのデザインの方向性は、どのような物件を売り出すのか、誰に対して売りたいのかに合わせて決めていきましょう。たとえばモダンな雰囲気が売りの物件なのであれば、チラシデザインもそれに合わせてスタイリッシュに作るのがよいでしょう。
反対に小さなお子様がいるファミリー層向けの物件ならば、「明るい・穏やか」といったイメージを持たせるイエローやオレンジをメインカラーにするなどの工夫ができます。
不動産の外観や間取り・スタッフの顔写真を掲載する
不動産の購入、もしくは将来的に購入を検討してもらうには、顧客が「その物件に住む自分」をいかにイメージできるかが重要です。そのため、チラシには物件の外観・内観の写真は不可欠です。
なおかつ、チラシに配置する写真は、「できるだけ大きく配置する」ということが大切です。いくらキャッチコピーで「広々していること」が強調されていても、その裏付けとなる写真が無ければ、顧客のイメージを喚起しません。
また、「顔が見えない相手」に対しては、人は不審感を抱きやすい心理傾向を持っています。反対に「顔が見える相手」になると、匿名性が消えたと考え、親近感・安心感を持ちやすいのです。特に小規模・中規模の不動産企業の場合、社長や社員の顔出しがあるかどうかで消費者側の安心度合いは大きく変わってきます。「この人に対応して貰えるなら大丈夫そう」「この人が案内してくれるなら信頼できそう」と感じられるような、清潔感・信頼感のある笑顔の写真を掲載しましょう。
不動産のポスティング反響率を高める7つのポイント
ポスティングはやみくもにチラシを配布しても反響にはつながりません。この章からは、不動産のポスティング反響率を高めるポイントを7つご紹介します。
不動産を中心に半径2km程度でエリア選定を行う
新築物件の売り出しの場合、物件から半径2km以内で契約が決まる確率が高いとされています。理由は、子どもがいる世帯の場合、なるべく転校の必要のない学区内で検討している層が多いからです。また、スーパーや病院なども、なるべく通いなれた生活圏から動きたくない人が多いです。
ポスティング業者であれば、「物件から半径2km以内で、世帯年収600万円以上が多いエリア」などの条件で絞り込みができます。
目標反響数から逆算してチラシ配布枚数を決める
配布枚数は反響目標から逆算して設定するのがよいでしょう。
不動産チラシの反響率の平均は約0.01~0.03%と言われています。これは10,000枚のチラシを配って1~3件の反響が得られる計算になります。
反響率は「反響数 ÷ チラシ配布枚数 × 100」で求めることができます。不動産の場合、チラシを見ていきなり物件を購入する人は少ないでしょうから、反響数は「内見・イベント来場者の数」で考えるとよいでしょう。
つまり目標反響数を10件と仮定するならば、少なくともチラシを30,000枚以上配布する必要があると分かります。
チラシにイベント来場の特典をつける
オープンハウスやモデルルーム見学会、説明会等への来場を促したい場合、チラシに何らかの「特典」を付けることが大切です。「説明会・見学会に行くことで何らかのメリットがある」ことを示せば、顧客の安心感に繋がり、アクションを起こしやすくなるのです。
特典の内容は「チラシ持参の方に××プレゼント」、「チラシ持参の方には宅地建物取引士による無料相談受付実施中」などがよいでしょう。
さらに特典には「限定性」を持たせることも重要です。「チラシ持参者のみの特典」であるという「特別感」を出すこと、また「今週×日18:00までの来場者様のみとさせていただきます」といった区切りを設けることで、来場を促す効果があります。
チラシをポスティングする曜日を調整する
不動産イベントは大抵、土日に行われることが多いでしょう。そのため、土日の集客を見込むのであれば、水曜日~金曜日あたりを目安にチラシを配布するのが理想的です。
ただし、この期間は同業他社のチラシも増えることが予想されるため、あえてタイミングをずらして自社のチラシを目立たせる、といった戦略も可能です。
チラシは異なるデザインでABテストを行う
可能な限りチラシはAとBの2つのパターンを用意しておき、同時に配布することをおすすめしています。というのも、どちらのパターンがより反響があったかを確認することで、より反響を高めるチラシをブラッシュアップしていくことができるからです。
と言っても、まったく異なるデザインのチラシを用意する必要はありません。たとえば、メインのキャッチコピーや写真を変えるだけで問題ありません。
ポスティング後は必ず効果測定を行う
ポスティング後は必ず効果測定を行うようにしましょう。ポスティングの場合はチラシの反響率を見ます。反響率は「反響数 ÷ チラシの配布枚数 × 100」で算出することができます。
ポスティングの効果が想定より少なかった場合は、原因を分析してみましょう。配布エリア、配布タイミング、チラシのデザイン……考えられる要因はたくさんあります。
一回のポスティング結果で判断してしまうのではなく、ブラッシュアップを行ったうえで再度ポスティングしてみるのをおすすめします。改善の結果、反響率が上がったケースもたくさんあります。
配布結果をもとに改善を行い、再度ポスティングする
ポスティングを1回だけ行った結果で効果を判断してしまうのはやや早計です。ポスティングはチラシを見るタイミングによっても結果が左右されますから、「今回はたまたまターゲットに見てもらえなかった」という可能性も捨てきれません。
また、複数回ポスティングを行うことで効果測定の結果が蓄積されていきます。配布エリアやチラシデザイン等、その都度ブラッシュアップを行うことで、ポスティングの反響が増えていく可能性もあります。
不動産業界がポスティングするメリットとは
不動産業界がポスティング集客を行うメリットについてご紹介します。
ターゲットに合わせて配布エリアを絞り込むことが可能
ポスティングは配布エリアを町丁目単位で細かく指定することができます。そのため、「物件の半径2km以内で、ターゲットが多いエリアに配布」することも可能です。
さらには「どんな住居形態に配布するか」も選ぶことができます。たとえば「高層マンションだけに配布」「戸建て住宅だけに配布」などです。
潜在顧客層にもアプローチできる
ポスティングの強みは「潜在顧客層」にもアプローチできることです。「今すぐに購入するわけではないけど、いずれマイホームを建てたい」「将来に向けて一回見学してみたい」という顧客を、ポスティングによって掘り起こせる可能性があるのです。
ポスティングチラシは手元に残るので長期間にわたって訴求できる
Web広告とは違い、紙のチラシは手元に残しておいてもらえます。「今すぐに予定はないけど、いずれ決心がついた時に」という需要に応えることができるので、ポスティングは長期間にわたって広告効果が見込めます。
内覧イベントや住宅展示会へ誘導できる
戸建住宅や分譲マンションの購入は、人生で最も大きな買い物となります。そのため、まずは内覧イベントや住宅展示会へ足を運んで、じっくり検討したいというお客様が多いでしょう。そのようなターゲットに向けてチラシを配布することで、将来的な顧客の獲得につなげていくことができます。
ポスティングは費用対効果が高い
チラシは1枚数円程度で配布できます。仮に1件でも成約につながれば、たとえ数万枚のチラシを配布したとしても十分に費用対効果の高い方法と言えるでしょう。
以下の記事では、「配布方法別の費用の相場」や「デザインや印刷も外注した場合の費用の相場」を紹介しています。予算に見合った効果が期待できるか、まずはシミュレーションしてみてください。
不動産のポスティングチラシに関するよくある質問
不動産のポスティングチラシに関連したよくある質問に回答します。
Q. 不動産のポスティングは違法ですか?
ポスティング行為そのものに違法性はありません。ただし、チラシの配布の仕方によってはクレームなどのトラブルが発生する可能性はあります。自社で配布をする場合は、以下の5点は意識しておくとよいでしょう。
・ 「配布禁止」と書かれている物件・ポストには配布しない
・ オートロックを通過しないとポストに辿り着けないマンションには投函しない
・ 管理人がいるマンションでは必ず一声かけてポスティングの承諾を得る
・ 一度投函したチラシを取り出そうとしない
・ 敷地内に勝手に自転車やバイクを停めない
Q. 万が一クレームが起こったらどのように対処すればいいですか?
万が一クレームが発生した場合は、初動が何より肝心です。すぐに住人の方に連絡を取り、謝罪の言葉と、今後はチラシを投函しない旨を伝えるようにしましょう。
また、ポスティング業者ではクレーム発生時の対応も任せることができます。クレーム発生によるリソースを減らしたい場合は、業者への依頼も検討してみてください。
Q. ポスティングを外注する場合、いくらくらいかかるか知りたいです
チラシの配布だけを依頼する場合、A4チラシ10,000枚を軒並み配布で3~5万円、セグメント配布の場合で5~10万円が相場です。
チラシのデザインや印刷も外注すると、上記に加えてプラス3~10万円を見ておくとよいでしょう。
Q. ポスティングを業者に依頼するメリットは何ですか?
ポスティング業者に依頼するメリットは以下の3点です。
・ ターゲットの多いエリアを割り出すことができる
・ 過去にクレームがあった物件を回避できる
・ 人的・時間的コストの節約になる
また、依頼する業者によってはチラシのデザインやクレーム対応まで請け負ってもらえます。
まとめ|不動産ポスティングで重要なのは「生活者」の視点に立つこと
最後に改めて、不動産ポスティングのチラシデザインのコツ、ポスティング反響を高めるポイントをおさらいしておきましょう。
【集客につながる不動産のポスティングチラシ作成のコツ】
・ 物件のターゲット層(ペルソナ)を明確にする
・ 顧客の行動を促すチラシ構成にする
・ 顧客にとってのベネフィットを伝える
・ 顧客目線のキャッチコピーを入れる
・ ターゲットに合ったデザインに統一する
・ 物件の外観・スタッフの顔写真を掲載する
【不動産のポスティング反響率を高める7つのポイント】
・ 物件を中心に半径2km程度でエリア選定を行う
・ 目標反響数から逆算して配布枚数を決める
・ チラシにイベント来場の特典をつける
・ チラシを配布する曜日を調整する
・ チラシは異なるデザインでABテストを行う
・ チラシ配布後は必ず効果測定を行う
・ 結果をもとに改善を行い、再度ポスティングする
住居は人が最もリラックスできる空間です。その購入を促すには、何よりお客様自身に「そこで生活する自分の姿」をイメージしてもらわないといけません。
売り手目線のメッセージ発信に終わらないよう、いかに「生活者目線」に立てるかが、ポスティング効果を左右することになるでしょう。
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