不動産広告にGISポスティングが注目される4つの理由とは?活用事例を加えて解説
2021年の東京オリンピック開催等が影響し、景気好調の兆しが見えている不動産業界。消費税増額前の駆け込み需要も後押しし、数十年に一度の市場活性化が来るとも言われています。そんな中、不動産各社が力を入れているのが広告宣伝です。特に現在では、地理情報データ・商圏情報データを使用した「GISポスティング」という宣伝手法に注目が集まっています。
不動産広告媒体としてGISポスティングが着目される理由はどこにあるのでしょうか?
ここではその理由やGISポスティングの活用事例をご紹介していきます。
不動産広告で「GISポスティング」が注目される理由
1.情報過多に悩む見込み客へのアプローチとなる「紙面媒体」
「紙面広告媒体」が再注目される理由としては、オンライン広告に弱点が見受けられるようになった点が挙げられます。2016年段階で総広告費が一兆円を突破したネット広告は、現在も急成長を遂げる最中。しかし反面、消費者側には「
購買決定までの期間長期化」という問題も生まれているのです。中でも不動産関連の購入検討者は、「
情報収集 → 購入決定」までの期間が伸びる傾向が見られています。
不動産ポータルサイトの充実化・広告多様化といったオンライン情報の爆発的増加により、「何を見ればいいのかわからない…」と悩む「情報疲れ」の消費者が増えているとも言えるでしょう。このような顧客に対し、紙面型の宣伝媒体では情報を適度に削ぎ落とし、画像等の視覚情報を効果的に使用してのアプローチができます。情報が一目で把握しやすくスピーディに伝達できるアナログ媒体の力が、再度注目されるようになったのです。
2.「潜在顧客」への有効なアウトバウンドマーケティング
ネット広告の多くは、「マンション + 地名」といった検索ワードによって広告表示がスタートするもの。「そろそろ家が欲しい」と思いつつ情報収集を始めていない「
潜在顧客」に対しては、積極的なリーチを行えません。これに対しポスティング等の紙面広告媒体は、潜在的なニーズを持つ顧客にも直接的アプローチを行えます。顧客の持つ潜在的ニーズにマッチした情報を送り届ければ、潜在顧客の購買欲求を大きく刺激し、一気に「顕在的な見込客(=購買・契約に近い顧客)」へとレベルアップさせることもできるのです。
3.新聞折込に変わる宣伝としての「ポスティング」
上記のような点でオンラインを凌ぐ強みを持つ「紙面型広告」。しかしメディアによっては弱体化も見られます。特にその傾向が強いのが「新聞広告」「新聞折込チラシ」です。これには新聞購読層の驚異的な縮小傾向が影響しています。2015年段階で「
新聞を1日15分は読んだ」と回答した率は、
40代で24%未満、30代で12%未満、20代ではわずか8%未満という数値です。「
5人~10人に一人しか新聞を読まない」という状況では、かつては主戦力とされた「新聞折込チラシ」の集客力は弱まったと言わざるをえません。また60代以上の高齢層にも、新聞購読率の低下が見られています。そんな中、新聞購読等に囚われずに顧客へアプローチができる手段として、各戸のポストへ直接チラシが投函される「
ポスティング」という宣伝手法が再度注目されるようになったのです。
4.絞込リーチを可能にした「GISポスティング」
不動産宣伝の特徴としては、「一物件のターゲット層が非常に狭い」「ニーズの多様化が顕著」という点が挙げられます。例えば単身者に対しファミリー向けの物件チラシがいくら届いても、購買・契約といったアクションには結びつきませんよね。また「広いターゲット層をカバーリングしよう」と幅広い内容の物件を掲載すれば、情報量が過度になり、広告としてのインパクトが薄れます。そのため従来のポスティングでは、「不動産宣伝は反応率が低い」といったロスが指摘されていたのです。
しかし
GIS(地理情報・商圏情報データ)システムを用いた「
GISポスティング」の登場により、その問題は大きく改善されるようになりました。GISポスティングでは、国勢調査・不動産調査・商業統計・推計年収階級別データ等から抽出したデータを使用し、複数のセグメントでの同時分析を行うことが可能です。「年齢・家族構成・収入」といった宣伝物件とマッチする属性を絞り込み、ターゲット層の多い地域に対し効率的にチラシ宣伝を行うことで、チラシ反響率・反応率の大幅なアップが期待できるようになりました。
【反応率アップ!】不動産広告にGISポスティングを使った活用事例
様々な意味で注目を浴びている「GISポスティング」。その分析がどのように活用されているのかを見てみましょう。
シングル向け分譲マンションの販売チラシ
【宣伝対象・配布予定チラシの特徴】
- ・女性専用物件であるためセキュリティ対応が重視されている。
- ・間取り1DK~2DKのシングル向け。
- ・女性の使用を考慮し、キッチン周り・建具デザイン等が充実。
- ・オフィス街・ショッピングエリアへのアクセスに比較的優れる。
- ・チラシデザインでも女性向けを意識している。
【ターゲット層想定】
30代後半~40代前半のいわゆる「アラフォー女性」が女性用マンション購入者の70%を占めるため、この年代をメインターゲットとしたい。マンション購入者の平均年収は400万円台となっているが、やや高価格物件となるため年収層を上げた方が有利と見られる。街の中心部へ通勤するシングルキャリア女性を想定。
【GISによる抽出・宣伝例】
国勢調査データ(5才ピッチの人口分布、性別分布)から「35才以上~45才未満」の単身世帯女性が多いエリアを抽出。また年収別世帯数推計データ等から、「推定年収500万円以上」の世帯が多いエリアを抽出し、両データの占有率が高い地域をセグメントできます。配布エリア指定は「町」単位だけでなく「丁目」といった細かい単位でまで指定することが可能です。メインターゲット層が多く居るエリアを選択しチラシ配布を行えば、配布による反響効果をより高め、チラシ廃棄といった無駄を抑えていくことができます。
住宅展示場イベントの告知チラシ
【宣伝対象・配布予定チラシの特徴】
- ・ファミリー層向けの一戸建て住宅が中心
- ・価格帯は県内平均単価に近いものが多い
- ・イベントは5才~小学校低学年の子供向けのヒーローショー、ぬいぐるみショーが中心
- ・子供向けの粗品プレゼントのクーポンをチラシに添付予定
【ターゲット層想定】
30代~40代前半の夫婦+10才未満の子どものファミリー世帯がメインターゲットと考えられる。相談会でメインとするのが県内平均単価に近いものとなることから、収入層はイベント開催地周辺の平均的な価格帯としたい。借家・賃貸マンション住居者を狙うことで、より高い反応率が期待できる。
【GISによる抽出・宣伝例】
国勢調査データから、一般世帯人数3人~5人以上、10才未満の子どもが居る世帯のみを抽出。更に「世帯推定年収500万円~600万円」の推計データを加えることで、「週末のイベントに訪れやすいファミリー世帯」の占有率が高いエリアを段階別に表示できます。また土地統計調査データ等による「共同住宅借家世帯数」のデータを加えれば、更に「分譲住宅購入希望者層」の多いエリアを細かく絞り込むことも可能です。
業者がGISで抽出したデータは、3段階~6段階毎にエリア区画で色分けされて表示されます。視覚的に把握しやすい表示法なので、抽出してもらったデータを紙面・Excel等でチェックし、配布戦略を立てていくことも簡単です。エリアマーケティングが初めてという人・チラシ宣伝に初挑戦という人でも、地理情報データ・商圏情報データといった専門的数値を取り入れながら効率的な宣伝が行なえます。
高級デザイナーズマンションの販売
【宣伝対象・配布予定チラシの特徴】
- ・ハイグレードの低層階デザイナーズマンション
- ・都会にありながら近隣の大型公園が見える自然の景観が特徴
- ・コンシェルジュサービスあり
- ・ユーザーニーズによる間取り可変対応
- ・建物・景観の美麗さを示す高品質のチラシを制作
【ターゲット層想定】
ハイグレードマンション購入・投資対象の主力層である40代がメインターゲット。立地・設備共に最高級クラスであるため、富裕層中心の宣伝としたい。立地・景観等のイメージから、都会暮らしのDINKS、センスの良い暮らしを望む小世帯ファミリー層とマッチしやすい物件と考えられる。
【GISによる抽出・宣伝例】
国勢調査データから、一般世帯人数2~3人以上の占有率、更に「世帯推定年収1,000万円~1,500万円」の推計データを加え、都市部通勤圏内に暮らす富裕層夫婦・小規模ファミリー層の多いエリアを抽出できます。世帯構成・推定年収を絞り込むことで配布枚数は下がりますが、その分だけチラシ一枚あたりの制作に費用をかけることも可能。富裕層が好むラグジュアリーなスタイルのチラシを制作することで、配布枚数を抑えながらも反応率を上げることが期待できます。
<おわりに>
物件とターゲット層のマッチングが非常に重要になる不動産関連商品(住宅・マンション販売等)の宣伝では、いかに「ターゲット外」への宣伝ロスを減らし、メインターゲット層へ宣伝メッセージを送り届けるかが肝となります。住民の属性を的確に分析できる「
GIS」という方法は、不動産宣伝において不可欠な存在となっていくとも言えるでしょう。
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